THEORY理論

現代版土のう工法(ソイルバッグ工法)についての研究の新規性・独創性(Originality)

「土のう」が昔から使われているとしても、それまで知られていなかった数々の驚嘆すべき有用な力学特性を科学的に解明(解析・実証)し現代の工法としてよみがえらせた点は評価されるべきものと考えられる。

「基本原理」

摩擦性材料である土に対する最も有効かつ究極的な補強法は、「土を完全に包み込むこと」である。完全に包み込み拘束することによって中詰め粒子の粒子間力が大きくなり、粒子間摩擦力も大きくなって、耐力が驚異的に増大する(区画拘束原理と呼ぶ)。「土のう」はその典型的な適用例の一つである。また、D・BOXはこの区画拘束原理を最大限発揮させるべく考案された箱状の袋である。

「有用な力学特性」

  1. 「土のう」の驚異的な耐力(その力学的なメカニズムを解明し、耐力式および見掛けの粘着力cの表示式を誘導すると共に実験によって検証した)
  2. 袋の編み目を通して水は通すが土粒子は通さない適度な透水性能(砕石入り土のうの透水フィルター効果。上記の見掛けの粘着力cによって固化すると同時に透水性能を保持する資材は他にない)
  3. 砕石入り土のう直下の軟弱地盤の「局所圧密・強化効果」(上記の透水性能によって、土のう直下から圧力球根状に局所的に圧密し、直下の軟弱地盤を速やかに強化して、地盤の支持力を増大させ沈下量を減少させる)
  4. 地盤の液状化による建物等の不同沈下抑制効果(上記の透水性能によって、液状化して噴き上げてくる砂と水のうち、水は抜いて過剰間隙水圧を下げると共に砂の流出を抑えるので建物等の不同沈下を抑制する)
  5. 交通振動と地震動両方の減振効果(土のうはわずかなしなやかさを有するので、交通振動や地震動のエネルギーを、目には見えない微小な袋の伸縮によって中詰め土の粒子間の摩擦熱エネルギーとして消散させる)
  6. 凍上防止効果(中詰めされた砕石粒子が大きいということは、粒子間の隙間も大きいので水が毛管上昇しない—水の補給がないので凍上しない)

「現場施工事例他」

以上述べたように、一つの工法が複数の効果をもたらす現代版土のう工法のコストパフォーマンスの高さは注目に値する。施工事例は、現在のところ国内外で2,000件以上となる。なお、本工法について2004年度の土木学会技術開発賞を受賞している。

現代版土のう工法としてのソイルバッグ工法の概要

先人の知恵である「土のう」を科学的に解明し、現代の工法としてよみがえらせた主な解明点は次の通りである。

  1. 地盤の補強工法には様々なものがあるが、粒子間の摩擦で保持する土に対する最も有効かつ究極的な補強法は、「土を完全に包み込むこと」である。完全に包み込み拘束することによって中詰め粒子の粒子間力が大きくなり、粒子間摩擦力も大きくなり、耐力が驚異的に増大する(区画拘束原理と呼ぶ)。「土のう」はその典型的な適用例の一つである。
  2. 「土のう」が驚異的な耐力を発揮する力学的なメカニズムを解明し、耐力式および見掛けの粘着力cの表示式を2次元および3次元下で誘導した。包むだけで、接着剤(セメント)を入れなくても、確実に粘着力c(強度)を付けることができる(補強土工法の本質的な意味はここにある)。この粘着力cが土のうの驚異的な耐力の源である。40cm×40cm×高さ8〜10cmの土のう(中詰め材:砕石)の耐力は20〜40tとなり、単位面積当たりに換算すると125〜250t/m2となる。これは、土のう自体は60〜120階建ての高層ビルの荷重に耐えることを意味している(注意点:土のう袋を日光(紫外線)にさらさない)。
  3. 砕石入りの土のうは、袋の編み目を通して水は良く通すが土粒子は通さない(ちなみに十分な強度(粘着力c)を付与して、かつ透水性を確保する資材は「土のう」以外にない—セメント改良土は固くなっても透水性が悪くなるという時には致命的な欠点を与える)。この結果、沼地のような水浸ヘドロ状態の粘性土地盤であっても、砕石入りの土のうは水(水圧)を吸収し、土のう直下から圧力球根状に局所的に圧密させて直下の軟弱地盤を速やかに固化(強化)し、地盤の支持力を増大させ沈下量を減少させる。人間にとって都合の悪い圧密沈下はほぼ施工期間中に終了し、都合の良い支持力の増加だけが得られるという有難い特性を持つ。これを、土のうの「局所圧密・強化作用」と呼んでいる。補強のため包まれた内部の土だけでなく、その直下の軟弱地盤まで短時間で強化するとは有難い。また、砕石入りの土のうは水を良く通して水圧を下げると共に、袋の編み目によって砂粒子の流出を止めるので、砂地盤の液状化対策にもなる。
  4. 土のうはわずかなしなやかさを有するので、交通振動や地震動のエネルギーを、目には見えない微少な袋の伸縮によって中詰め土の粒子間の摩擦熱エネルギーとして消散させる。この結果、土のう積層体は高減衰の減振装置(減衰定数0.15〜0.30(免振ゴムとほぼ同じ値)、固有振動数30〜40Hz)としての機能を果たす。交通振動低減については5〜15dBの振動低減が観測されており、多くの計測結果や現場の住民の喜びの声がある。今回の東日本大地震についても、茨城県の施主が“こけし”が倒れずそんな大きな地震とは感じなかった、墓石業者の技術指導している方からの報告では、福島県の墓石で周りの墓石がほとんど全壊したのに被害が全くなかった、など多くの箇所で合計100人規模の証言がある。
  5. 砕石を入れた土のうは、凍上防止効果もある(砕石粒子が大きいということは、粒子間の隙間も大きいので水が毛管上昇しない—水の補給がないので凍上しない)。
以上述べたように、一つの工法が複数の効果をもたらす現代版土のう工法のコストパフォーマンスの高さは注目に値する。施工事例は、現在のところ国内外で2,000件以上となる。なお、本工法について2004年度の土木学会技術開発賞を受賞している。

『土のう』の強さの秘密

1.
土のう袋に砂や砕石などを入れます。
2.
上から圧力がかかると、土のうは平らになります。
3.
土のうが平らになると、袋の周囲の長さが延び、袋に張力が発生します。
4.
袋に張力が発生すると、袋の中の土粒子間の力が増加し、摩擦力も大きくなります。
5.
土粒子間の大きな摩擦力によって土のう全体が拘束強化し、コンクリート並みの強度を発揮するようになります。

【適用例】
●住宅基礎地盤の補強
●擁壁の裏込め材料
●各種公共事業
●補強土壁、擁壁などの基礎
●道路改修工事
●災害復旧工事

→事例についてはコチラ

■円形袋体の圧縮強度の評価方法

昔から用いられている「きんちゃく」からもわかるように、円形袋体は袋体がつり上げられたときに生じる、力学的に安定した自然な形であり、中詰め材に対して一様で極めて効果的な拘束効果を与えるものです。このような袋による拘束力によって、中詰め材は信じ難い驚異的な圧縮強度を発揮するようになります。そこで、ここでは円形袋体の圧縮強度の表示式を提示するとともに、砕石入りの円形網状袋体の圧縮試験結果と比較して十分な予測能力を持つことを検証します。これによって、「円形土のう」のような円形袋詰め補強土の圧縮強度を評価し、その性能表示をすることが可能となります。・・・
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■土のうによる「局所圧密・強化作用」(沼地実験)


腰まで沈む沼地、深さ約3メートル

 

WHAT IS “SoilBAG”?ソイルバッグ概要

 

洪水などの災害時に活躍する『土のう』の最近の研究で、使い方次第ではセメント並みの強度を持つなど、これまでに知られていなかった長所が明らかになってきました。圧力に強い『土のう』の性質を発見したのは、名古屋工業大学の研究者たち。地盤工学が専門の松岡元(はじめ)教授のもと、土の粒子の研究に取り組む中で『土のう』が持つ強さに気付きました。
左はM県のマンション建設現場における作業風景です。通常は基礎を固めるためにセメントが用いられますが、この現場では『高規格土のう』が使われました。『土のう』は圧力がかかると固まるということが研究で明らかになり、品質についても信頼性の高さが実証されています。

現場責任者は、土との相性が影響しやすいセメント系の固化剤と比べ、「間違いなく結果が出る、目的の品質が得られる」工法であると語っています。

『土のう』の上から圧力をかけると、袋の内側に向けて力が働き、中の粒子が密着します。その結果、大きな摩擦力が生じ、まるでコンクリートのように固まるのです。固まった粒子は外には拡散しないので、よほど大きな力が掛からない限り、袋は破れません。
機械で実際に圧力をかけ、『土のう』の耐久力を実験してみます。右は、直径10センチのコンクリートです。上から同じ強さの圧力をかけています。圧力がおよそ20トンに達したところで、コンクリートには亀裂が生じていますが、『土のう』には変化がありません。

この実験では、37トンまで耐えることができました。

また、『土のう』には振動を吸収・遮断する効果が確認されています。『土のう』に鉛直荷重を加えた状態で繰り返し水平力を作用させた結果、振動がすぐに減衰されることが分かりました。ソイルバッグによる基礎補強は、このように高減衰構造体となるため、振動対策や地震対策として高く評価されています。こうした効果はすでに名古屋市内の幹線道路で活用されています。
『土のう』にはどんな材質の土も入れることができるため、どこでも簡単に作り、工事に利用することが出来ます。東ティモールでの道路復旧工事や、ケニヤの道路建設などにも『高規格土のう』ソイルバッグが使われており、コンクリートなどの物資が不足した場所でも有効な資材として注目されています。
古くから身近にありながら、研究によって本格的な建築に利用されるようになった『土のう』が秘めた可能性は、まだまだあります。当研究会は、今後もこの『高規格土のう工法・ソイルバッグ』の研究と開発を続け、このすばらしい技術を通して社会に貢献していきたいと考えています。